ドキュメンタリー

We Margiela/マルジェラと私たち(映画)の結末までのネタバレと感想評価は?あらすじキャストと監督スタッフも

未だにファッショニスタ達からカリスマ的人気のある人気ファッションデザイナー、マルタン・マルジェラ

彼がファッション業界を引退するまでのドキュメンタリー映画「We Margiela マルジェラと私たち」の作品のポイントをお伝えしていきます。

またあらすじや、キャスト、スタッフ監督、ネタバレをご紹介いたします。

「We Margiela マルジェラと私たち」あらすじ

ファッショニスタから熱烈な支持を受けた「メゾンマルタンマルジェラ」のデザイナー、マルタン・マルジェラについてのドキュメンタリー。公に姿を見せず、書面のみのインタビューで「I=私」ではなく「We=私たち」で答えるなど、メディアに対し匿名性を貫いたマルジェラ。

1997~2003年にはエルメスのウィメンズ・プレタポルテのデザインを手がけファッションの最先端を牽引したが、2009年に突如として表舞台から姿を消した。オランダ出身のドキュメンタリー作家メンナ・ラウラ・メイール監督が数々の貴重なアーカイブ映像や証言を掘り起こし、伝説的デザイナーの素顔と知られざるモードの舞台裏を浮き彫りにする。

ブランドの共同創始者ジェニー・メイレンスやクリエイティブチームの「私たち」が、これまで語られてこなかった激動の20年間を振り返る。

出典:eiga.com

ファッショニスタ以外の歌手、女優、クリエイター達からも熱狂的ファンの多いカリスマ的存在、マルタン・マルジェラ。彼はデビューした88年以降、公にほとんど姿を現さない匿名性のある人物であった。

コレクションは今までの既存の形を全て壊す、実験的でより芸術性の高い洋服であったため、その才能は当然のごとく注目を浴びていく。

マルジェラ本人が姿を見せない上に記者にも会わない、インタビューも答えないことからその神秘性は過剰な人気になり、他のブランドとは一線を画す熱狂ぶりを見せてゆきます。

しかし人気の絶頂で引退してしまったマルジェラ。その引退の理由や原因、当時の渦中に居た人物達の証言からその姿があわらになってゆきます。

 
 
 
 

 

「We Margiela マルジェラと私たち」キャストや監督スタッフ

<キャスト>

本人役:ビッキー・ロディティス
本人役:グレース・フィッシャー
本人役:ディアナ・フェレッティ・ベローニ
本人役:ルチア・ザンニ
本人役:ソフィー・ペイ
本人役:インゲ・グログニャール
本人役:ルッツ・ヒュエル
本人役:アクセル・ケラー
本人役:パトリック・スキャロン
本人役:マデライネ・パークハイマー
本人役:アルダ・ファリネッラ
本人役:ハーレイ・ヒューズ
本人役:リズ・パルマンティエ
本人役:スタニスラス・マリシェフ
本人役:アンダース・エドストローム
本人役:ジェニー・メイレンス(声の出演)

<スタッフ>

監督:メンナ・ラウラ・メイール
製作総指揮:ジャクマーン・ファン・サンベーク
撮影:ダビッド・スパーンス
編集:アルベルト・マルクス

ドキュメントなので全て当時のマルジェラに関わった主要人物たちが本人役でインタビューに応じています。マルジェラと最初にコンビを組んでブランドを立ち上げようとしたジェニー・メイレンスのみ声だけの出演です。その方法もマルジェラ同様、ジェニーがいかにファッション界のキーパーソンであったかという事を現しています。

実際のマルジェラと仕事をしていた人物も限られていますので、神格化して行ったマルジェラチームのスタッフの証言を聴くのも一見の価値があります。つまりはWeなる人々です。

監督のメンナ・ラウラ・メイールはオランダ出身の監督です。大学ではジャーナリズムを専攻。映画監督になるつもりはなかったが、グラフィティの少年たちの記事を執筆中にTVプロデューサーからドキュメンタリー映画にしてはどうかと勧められ、監督としてのキャリアをスタートさせました。

処女作『tags』(97)は違法なレイヴパーティーで上映され、エンドロールの途中で警察によって阻止された経験を持つ。その後はワケありの子供や若者をテーマに選ぶことが多くなリます。

今作は消息を絶った人が再び人生を歩み始めるまでの間、どのようにして人生の転換を図れるのかというテーマに興味を持っていた時に、マルタン・マルジェラの存在を知り、映画化を実現しました。現在は『The human animal』という作品に取り掛かっています。

話だけですと、何だかラリー・クラークのような感じですが、ラリーのように実話やリアルさをベースに映像化するドキュメンタリータッチの映画を作ってくれるのかもしれません。あえてマルジェラを選ぶあたりからも、今後が楽しみな監督さんです。

 
 
 
 

 

「We Margiela マルジェラと私たち」予告映像

最初から最後まで一貫してインタビューされる人の声がBGMです。音楽はマルジェラのファッションショー同様一切ありません。ストイックな作りです。

こちらは2018年にパリモード私立美術館『パリ・ガリエラ』にてマルジェラの1989年から引退するまでの2009年のアーカイブを展示した際にまとめた映像ですが、こちらで大体のマルジェラの奇抜と斬新なアイデアが観ることが出来ます。

毎年毎シーズンすごい膨大なアイデアの数々、表現方法など、もはや洋服のレベルを通り越しています。

 
 
 
 

 

「We Margiela マルジェラと私たち」ネタバレストーリー

マルタンマルジェラと一緒に「メゾン・マルタン・マルジェラ」を作り上げた創始者、ジェニー・メイレンスの独白から映像は始まる。

1980年代にベルギーのブリュッセルで若手デザイナーの服を扱うセレクトショップ『クレア』を経営していたジェニー。彼女の審美眼は鋭く、ヨウジやコムデギャルソンにいち早く飛びつきベルギーに広めたのもジェニー本人である。

クリエーションの振興を目的としたコンテスト『ラ・カネット・ドール』の審査員を務めていた時、マルタンと運命の出会いをします。マルタンの才能に惚れ込んだジェニーは、その後、マルタンと共に『マルタン・マルジェラ』を設立します。

1989年に初めてのパリコレクション参加。場所はパリの劇場。

それまでのパリコレクション発表の場といえば大きな会場で、有名モデルを扱い、顧客や関係者がランウェイの最前列に座るというパターン。マルタンは有名モデルは使用せず、女性は完璧ではないとの思考から全てモデルは素人。そしてメイクも未完成、モデルの顔に布を被せた。

デザインの基本は『反モード』であり、デザインも、古着をリメイクしたり、中古のジーンズに白ペンキでペイントしたり、コルクを使ったり、ネクタイだけの服、帽子で出来た服、靴下できたジャケット。

今ではリサイクやリメイクなど普遍の事ですが、当時でそれをやるのは非常に斬新で新しかったのです。

洋服という概念を取り外したマルタンの物つくりはもはやファッションにとどまらず、至高の芸術作品であったと言えます。当時一緒に働いていた人々がそれを印象付けるように語っていきます。

毎回毎回が斬新でアイデアに満ち溢れていたショー。ショーの形式でさえもアヴァンギャルドでした。マルタンのチームで仕事するときに大事なのは技術ではなく、アイデアだ、と語られます。

マルタンはファッションという仕事だけでなく私生活も充実させたかったそうですが、実際マルタンは休みなく、週七日働きづめでクリエーションに全身全霊で情熱を注いでゆきます。

97年にロッテルダムのボイマンス・ファン・ビューニンゲン美術館にて最初の回顧展が行われます。

アイデアはマルタンではありませんでしたが、服を全て美術館の外に出し、人々はいつもとは反対側で作品を見るというコンセプトでした。ここでの服のテーマはバクテリアであり、バクテリアが服の布を侵食していく過程を表現し、魅せています。

ブランドが大きくなっていくのと同じく、マルタンはさらに公に顔を出さなくなります。記者とのインタビューもFAXで行います。しかしその文面には私(I)ではなく私たち(WE)を使用するようになります。私的な事を聞かれるのを忌み嫌っていたマルタンにとって(I)ではなく(WE)を使うことは匿名性を助長し、マルタンの存在や意思を消せる上手い言葉だったからです。

何度も倒産寸前になる経済状況でしたが、ブランド自体の人気はますますヒートアップしていきます。ジェニーは悩みます。

マルタンは洋服作りの天才でしたが、それと当時に商才の才能は全くといっていいほど映像からも垣間見られません。ジェニーがいたからこそのマルタンです。有名になることや経営的な事は全てジェニー1人が行なっていました。ジェニーは疲れ切っていたのだと言います。

なぜならマルタンは商業的なことには一切の知識もなく、理解もない。ジェニーは孤独感でいっぱいでした。結局マルタンの一言、「もっと商業化にしてもいい」という言葉を受け、よりクリエイションができるよう会社の拡大を決定し、2002年にイタリアのレンツォ・ロッソのOTB社に買収されるマルジェラです。当時にジェニーはマルジェラを去ります。

不眠不休で働きづめだったマルタンは買収された額をジェニーから聞いて唖然とします。そこでやっと今まで自分たちがやってきた価値がどれほどのものだったか理解できたというのです。

ここで語られるジェニーとマルタンの差が皮肉ですがこの映画の一番重要な部分です。ジェニーは語ります。マルタンはずっと最低賃金で働いていたの、と。(フランスの最低賃金は現在で1280円です)

マルタンは実は仕事以外の事は何一つ出来なかった。衝撃の発言がジェニーから語られます。

次第にマルタン・マルジェラはマルタンの意図するものでは無くなっていきます。ショーモデルは有名モデルを起用するようになります。ショーからは個性的な顔が消えて行きました。

ずっと一緒に仕事をしていたヘアメイクアーティストの証言によると2008年に引退騒動の年、有名シンガーのリアーナのフィッティングをしていた最中にマルタンが突然姿を消します。90年代から台頭していったセレブリティ文化への嫌悪反応と言われています。マルタンは有名人にもパーティーにも興味はありませんでした。そう、自分が有名になることでさえも。。。

そしてジェニーを追うようにマルタンも2009年にブランドを去ります。事実上の引退です。

本作品の撮影は2015年に開始され、完成したのは2017年9月です。ジェニーがこの世を去ったのも奇しくも本作が完成する前の2017年7月に永眠されました。

ジェニーの独白で映画は突然終わります。

 
 
 
 

 

「We Margiela マルジェラと私たち」感想評価

ペン丸
ペン丸
5段階評価:★★★★☆

マルタン・マルジェラのデザイン性や洋服そのもの、歴史をある程度知っていないと本作を理解するのは難しいのではないかと思いますが、ドキュメンタリーとしての作りはとても繊細で丁寧でまるでマルジェラの洋服への姿勢のようです。作り手がマルジェラを理解していることがよくわかる作品です。

マルジェラのようなタイプの人間がずっとあの場にいる事は出来ない。証言する女性の一言が確信をついてると思いました。
経済的な成功によりクリエイションの場がもっと広がるのは事実です。しかし、芸術という想像力はそれと相反する場所にあるのです。

特に「アンチファッション」的なファッション作りをしていたマルタンにとっては有名になって他と同化していく事は耐えられなかったのではないでしょうか。有名になって援助金が得られ自由が手に入リます。しかしあまりにもマルタンは不器用でした。

同業者がある日引退したマルジェラと会い、ランチしていた時に互いを語る部分が面白いです。彼はマルタンに「なぜ引退したんだ?」と聞きます。マルタンは答えます「君はずっとあの場に居たいの?」と。マルタンは楽しんでいなかったのです。それを聞くとマルタンの才能が枯れたわけではなく、本当はマルタンはファッションは好きでなかったのでは??と思わざるを得ませんでした。

マルタンが興味があったのはクリエイティブな物つくりであって、消費するファッションではなかったという事ですね。その世界に身を置けば置くほどファションが豪華で消費するものだと知ってしまう。マルタンの中にはずっと苦悩があったのではないかと思います。

買収されて、その価値を初めて知らされた時にマルタンはやっと眠りにつくことができたのではないかと想像しました。それまで不眠不休、自分の時間すらない。あの有名なデザイナーが最低賃金で、自分を養うことでいっぱいだと誰が想像できたでしょうか。共同創立者のジェニーの死で終わるラストと同様に物語自体は非常に悲しい天才デザイナーの結末でした。

現在は旅行したり、家事をしたり、絵を描きながら今までやれなかった事をしているというマルタン。彼のクリエイティブな才能が枯れる事はありませんから、今後何かしらの形で私たちの前に現れてくれるのではないでしょうか。

「We Margiela マルジェラと私たち」まとめ

マルジェラを知らない人でもぜひその孤高な精神に触れてほしい1時間40分です。

服というジャンルにとどまる事なく、芸術に関心のある方にもお勧めできる一本です。

この映画の感想

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